尿でわかるがん検診とは？検査キットの種類やメリット・デメリットを解説

「簡単にがんリスクを調べたい」「痛みや体の負担が少ないがん検査を受けたい」などと考えている方もいるでしょう。

近年では、がんの早期発見に役立つさまざまな検査方法が実用化されており、尿を用いたがんスクリーニング検査も注目されています。

尿でわかるがん検診・検査は、尿を採血するのみで一部または複数のがんリスクが調べられるため、忙しい方でも定期的に利用できます。

本記事では、尿でわかるがん検査とは何か、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。手軽にがんリスクを把握したい方は、ぜひ参考にしてください。

尿でわかるがん検診・検査の種類

尿でがんのリスクがわかる検査には、下記の種類があります。

• 線虫がん検査
• 尿中マイクロRNA検査
• 尿潜血検査
• 尿細胞診

次章では、それぞれの特徴や検査内容などを詳しく解説します。

線虫がん検査

線虫がん検査とは、自宅でがんリスクを調べるスクリーニング検査です。

非常に優れた嗅覚をもつ線虫には、尿中のがんの匂いを検知して集まる性質があり、23種のがんに反応するといわれています。

線虫がん検査では、線虫を尿と接触させて動きを観察し、がんリスクをABCDEの5段階に評価します。

自身で手軽に検査ができるため、医療機関を受診する必要はありません。専用の検査キットは、公式サイトやドラッグストアなどで購入が可能です。

検査キットで尿を採取して指定の場所に郵送するのみで、約4～6週間後に結果がわかります。

尿中マイクロRNA検査

尿中マイクロRNA検査とは、マイクロRNAと呼ばれる物質の発現パターンからがんリスクを評価する検査です。

尿に含まれるマイクロRNAの抽出・測定・解析により、10種類のがんリスクを個別に判定します。

とくに、早期発見が難しいといわれている膵臓がんにおいては、感度・特異度92.9％と高い検出精度が確認されています。※1

現在、全国1,000以上の医療機関で導入されていますが、自宅でも検査が可能です。

公式サイトで検査キットを購入し、自身で採尿して郵送すれば、1か月程度で詳細な検査結果が郵送されます。また、検査結果はマイページからも確認できます。

尿潜血検査

尿潜血検査は、尿中の赤血球の有無を判定する検査です。血尿スクリーニングとも呼ばれており、肉眼では捉えることが難しい微量の血液の混入も調べられます。

とくに、腎臓や膀胱などの泌尿器系のがんリスク評価に役立ちますが、がん以外の臓器の炎症・疾患でも反応するケースが多いです。

また、検査結果への影響を考慮して、月経中や激しい運動の直後、ビタミンCを大量に摂取したあとは検査を控えましょう。

尿潜血を指摘された方には、泌尿器科や腎臓内科の受診が推奨されています。

尿細胞診

尿細胞診は、尿中のがん細胞の有無を調べる検査で、腎臓がんや膀胱がんの発見や前立腺がんのリスク判定にも有用です。

がん細胞は細胞同士の結合が弱いため、剥がれ落ちて尿に排出されやすくなります。尿細胞診では、採取した尿を遠心分離して特殊な染色液で染色し、顕微鏡で詳しく観察します。

尿細胞診の結果は、次の5段階に分類されます。

• クラス1：正常な細胞のみ
• クラス2：異型細胞はあるが、悪性の可能性は低い
• クラス3：異型細胞があり、良性・悪性の判断が難しい
• クラス4：悪性の可能性がある異型細胞がある
• クラス5：悪性と断定できる異型細胞が認められる

クラス1・2に限り陰性判定で、クラス3以上から再検査・精密検査が必要になるケースが多いです。 

尿でわかるがん検診・検査のメリット

尿でわかるがん検診・検査には、下記のメリットがあります。

• がんを早期発見できる
• 痛みがない
• 自宅でも受けられる

次章では、それぞれのメリットを詳しく紹介します。

がんを早期発見できる

多くのがんは初期の自覚症状に乏しく、進行してから発見されるケースが少なくありません。

がんは早期発見して適切な治療をおこなえば、ほぼ根治が可能です。一方で、進行するほど治療効果は現れにくくなり、生存率も低下します。

下記は、ステージごとの5年生存率です。

	ステージ1	ステージ2	ステージ3	ステージ4
全がん	96.2％	83.2％	52.7％	20.0％

ステージ1・2の場合、大半はがんそのものの切除が可能であることから、生存率は83.2～96.2％までキープできます。

しかし、ステージ4まで進行すると、がんは原発巣を超えてリンパ節や遠隔臓器に転移しており、一般的に手術は困難です。生存率は著しく低下して20.0％程度です。

無症状な段階からがんの早期発見・早期治療につなげるためには、定期的に尿によるがん検診・がん検査を活用しましょう。

痛みがない

尿でわかるがん検診・検査は、尿を採取するのみで全身または一部のがんのリスクが調べられます。そのため、検査における痛み・違和感は一切ありません。

胃部内視鏡検査や腹部超音波検査に必要な事前の食事制限や、X線検査・CT検査などに伴う医療被ばくの心配も不要です。

体に負担をかけず手軽にがんのスクリーニング検査を受けたい方には、おすすめです。

自宅でも受けられる

一部の検査は、専用の検査キットにより自宅で簡単にがんリスクを調べることが可能です。

設備が整った遠方の医療機関を受診したり、結果説明のために通院したりといった手間をかけずに、自身の都合のよいタイミングでがんスクリーニング検査がおこなえます。

仕事や家事、育児に忙しい方でも気軽かつ定期的に活用できるでしょう。

尿でわかるがん検診・検査のデメリット

尿でわかるがん検診・検査のデメリットは、下記のとおりです。

• 100%の精度は保証されていない
• 過剰診断の場合は体に負担がかかる

次章で詳しく解説します。受診を検討中の方は、メリットのみならずデメリットも十分に理解したうえで受けましょう。

100%の精度は保証されていない

尿によるがん検診・検査は、あくまでがんリスクの可能性を評価するスクリーニング検査であり、100%の精度でがんを検出できるわけではありません。

陰性判定でもがんが体内に潜んでいたり、陽性の場合でもがんではなかったりと、偽陰性・偽陽性が生じるケースがあります。

そのため、検査結果のみを鵜吞みにしないよう注意しましょう。

過剰診断の場合は体に負担がかかる

尿でわかるがん検診・検査には、過剰診断のリスクがあります。

不必要な検査・治療がおこなわれることで体に負担がかかるほか、陽性判定を受けた際の精神的なショック、医療費による経済的な重荷などが生じるケースも少なくありません。

マイクロCTC検査は高い精度でがん細胞を捕捉可能

マイクロCTC検査は、血中のがん細胞を特異度94.45％の高精度で検出する血液検査です。※2

1回5分の採血のみで全身のがんのリスクはもちろん、治療効果の評価や転移・再発の早期発見にも役立ちます。

ここからは、マイクロCTC検査の魅力と概要について詳しく解説します。

従来の早期スクリーニング検査との違い

はじめに、マイクロCTC検査と従来のがんスクリーニング検査との違いを紹介します。

	マイクロCTC検査	従来のがんスクリーニング検査
検査方法	採血（1回5分）	尿・唾液の採取、採血
判定方法	血中のがん細胞そのものを捕捉して細胞診断にて判定	がんの存在・リスクを間接的な傾向値で判定
検出精度	特異度94.45％	特異度90％

従来のがんスクリーニング検査は、がんの間接的な数値や状態などの傾向値をもとに判定するため、がんのリスクが高い・低いのみしか明確になりません。

マイクロCTC検査では、血中を循環するがん細胞そのものを直接捉えて個数を1個単位で明示します。がん細胞が検出された場合、がんが体に潜んでいることがわかります。

また、検出精度の高さもマイクロCTC検査の魅力の一つです。

米国「MDアンダーソンがんセンター」が開発した特異度94.45％のCSV抗体を利用し、超高性能光学顕微鏡とAIによる解析、臨床検査技師による細胞診断を実施しています。

検査結果に大きな納得感が得られるがんリスク検査を受けたい方は、マイクロCTC検査を検討しましょう。

充実のアフターフォローありで安心

マイクロCTC検査では、検査後のサポート体制にも力を入れており、がん細胞が検出された方に向けて無料相談を実施しています。

無料相談の概要は、下記のとおりです。

• 相談方法：対面（遠方の方のみオンライン面談が可能）
• 相談時間：最大30分（平日9～12時、13～18時）
• 予約方法：代々木ウィルクリニック（03-5990-6184）

無料相談は代々木ウィルクリニックの太田医師（マイクロCTC検査センター長）が担当し、1年以内の検査内容を伺ったうえで必要な精密検査を紹介します。

画像診断でがんが疑われた場合は、大学病院やがん専門の医療機関への紹介状の作成も可能です。

マイクロCTC検査は、万が一のときも医師に相談できるため、安心して検査が受けられます。

検査費用・クリニック概要

マイクロCTC検査の検査費用は、1回198,000円（税込）です。※3

全国の提携クリニックで実施しているため、遠方の医療機関を受診する必要がなく、自宅や会社の近隣で検査が可能です。

ここで、マイクロCTC検査の流れを紹介します。

• STEP.1：クリニック検索・予約
• STEP.2：問診票の記入
• STEP.3：支払い方法の選択
• STEP.4：受診
• STEP.5：検査結果の確認

マイクロCTC検査の公式サイトでエリアを選び、受診するクリニックを決めます。「採血・検査予約に進む」をタップして日時を選択して検査を予約しましょう。

次いで、個人情報と問診票を記入します。支払い方法を選択し、各種規約を確認のうえ予約を確定させます。

検査当日は10分程度前に来院して受付を済ませます。事前にクレジットカードで決済している場合は、採血後、窓口や会計に立ち寄る必要はありません。

検査結果が確定した際、登録先のメールアドレスに通知が届きます。マイページから結果を確認しましょう。

尿でわかるがん検診・検査に関するよくある質問

最後に、尿でわかるがん検診・検査に関するよくある質問を紹介します。

同じような疑問を抱いている方や検診・検査を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

線虫がん検査は怪しい？

線虫がん検査は、2020年頃に一般発売された新しい検査方法です。そのため、有効性を示すデータの不足が指摘され、信頼性に疑問をもつ声があります。

また、一部の学会発表によると、がん患者10人の尿を提出したところ全員が陰性（低リスク）の判定を受けたとの報告もあります。

一方で、がんの早期発見に期待されていることも事実です。線虫がん検査を検討している方は、慎重に判断しましょう。

尿でがん検査できる病院はある？

尿によるがん検査を導入している医療機関は複数あり、病院や検査キットの公式サイトなどで探せます。

また、がんに関する相談窓口に問い合わせれば、実施している病院を紹介してもらうことも可能です。

そのほか、人間ドックや健康診断を受診する際は、オプションとして追加できる場合があるため、自治体や加入先の健康保険に確認しましょう。

尿でわかるがん検診・検査にかかる費用は？

尿でわかるがん検診・検査の費用は、検査キットや医療機関により異なります。費用の目安は、下記のとおりです。

検査の種類	費用
線虫がん検査（N-NOSE）	1回16,800円（税込）
尿中マイクロRNA検査（マイシグナル）	1回69,300円（税込）
尿潜血検査（東京泌尿器科クリニック上野）	無料～2,000円
尿細胞診（なりた泌尿器科・内科クリニック）	540～3,500円

線虫がん検査と尿中マイクロRNA検査は、保険適用外で検査費用は実費です。

尿潜血検査は一般的に人間ドックや健康診断に含まれています。尿潜血検査のみを受ける場合でも、費用は保険診療の3割負担で2,000円程度です。

尿細胞診の費用において、保険診療の3割負担の場合は約540円、人間ドックや健康診断にオプションとして追加する際は3,500円程度です。

まとめ

本記事では、尿でわかるがん検診・検査を中心に解説しました。

がん特有の匂いに敏感な線虫を利用した線虫がん検査や、マイクロRNAの発現パターンでリスクを評価する尿中マイクロRNA検査は、自宅で簡単に検査が可能です。

また、血液成分を調べる尿潜血検査や、剥がれ落ちた尿中のがん細胞の有無を調べる尿細胞診も、がんのスクリーニング検査として有効です。

しかし、尿によるがん検診・検査は、がんの疑いを間接的に示唆するものであり、精度を疑問視する声もあります。

検査結果に大きな信頼・納得感を得たい方には、マイクロCTC検査がおすすめです。マイクロCTC検査は、がん細胞そのものを直接キャッチし、全身のがんリスクを判定します。

定期的にマイクロCTC検査を活用して、がんの早期発見・早期治療を目指しましょう。

〈参考サイト〉
※1：尿がん検査マイシグナル®｜早期発見と予防で一生のがん対策
※2、※3：マイクロCTC検査 | 血中のがん細胞を捕捉するがんリスク検査