がん検診において、「いくらかかるのか」「高いのではないか」など、費用の心配をする方は少なくありません。
名古屋市では、勤め先でがん検診を受ける機会のない方に向けて、500円(税込)で受診ができる「ワンコイン検診」を実施しています。
本記事では、名古屋市のワンコインがん検診の種類をはじめ、無料クーポン券送付の対象者や送付時期・有効期限などを詳しく解説します。
名古屋市に住民登録があり、がん検診の受診を迷っている方はぜひ参考にしてください。
\ 注目のがんリスク検査マイクロCTC検査 /
名古屋市のワンコインがん検診の種類(令和7年度)

名古屋市のワンコイン検診では、各検診が自己負担金500円(税込)で受けられます。検診の種類と検査内容、対象者、受診頻度は下記のとおりです。
| 検診の種類 | 検査内容 | 対象者 | 受診頻度 |
|---|---|---|---|
| 胃がん検診 | X線検査 | 40歳以上 | 1年に1回 |
| 胃内視鏡検査 | 50歳以上 | 2年に1回 | |
| 肺がん・結核検診 | 胸部X線検査 喀痰細胞診(該当者のみ) | 40歳以上 50歳以上 | 1年に1回 |
| 大腸がん検診 | 便潜血検査(2日法) | 40歳以上 | 1年に1回 |
| 子宮がん検診 | 視診、内診、頸部細胞診 | 20歳以上の女性 | 2年に1回 |
| 乳がん検診 | マンモグラフィ検査 | 40歳以上の女性 | 2年に1回 |
| 前立腺がん検診 | 前立腺特異抗原(PSA)検査 | 50歳以上の男性 | 1年に1回 |
次章では、それぞれの検診について詳しく解説します。
胃がん検診
名古屋市では、次の胃がん検診をワンコインで提供しています。
- X線検査(1年に1回):40歳以上の方
- 胃内視鏡検査(2年に1回):50歳以上の方
X線検査とは、X線を用いて胃の形・粘膜の状態などを画像化するいわゆるレントゲン検査です。
胃を膨らませて内部を観察しやすくする発泡剤と、画像に鮮明なコントラストを付けるバリウム(造影剤)を飲み、多方面からX線を照射して撮影します。
胃内視鏡検査では、先端にカメラが搭載された内視鏡を口または鼻から挿入して、食道・胃・十二指腸をリアルタイムで観察します。
疑わしい病変がある場合、組織を採取して生検につなげることが可能です。
内視鏡検査(胃カメラ)とX線検査の両方は受けられません。そのため、50歳以上の方は、どちらかを選ぶ必要があります。
そのほか、40~59歳の方は1回のみ胃がんリスク検査が受診できます。
胃がんリスク検査は、胃がんの多くの原因であるヘリコバクター・ピロリ菌感染の有無と胃の萎縮度を調べてリスクを評価する血液検査です。
肺がん・結核検診
名古屋市在住の40歳以上の方は、1年に1回、肺がんと結核の早期発見に有用な胸部X線検査が受けられます。
胸部X線検査では、検査台に胸を密着させたうえで息を大きく吸いこみ、肺を膨らませて背部から胸部にX線を照射して、肺や心臓、縦隔などの状態を撮影します。
検査時の痛み・違和感などはほぼありません。
さらに、50歳以上で喫煙指数(1日あたりの喫煙本数×喫煙年数)が600以上の場合、胸部X線検査とともに喀痰細胞診をおこないます。
喀痰細胞診は、問診の結果、医師が必要と判断した際に実施します。痰を採取して顕微鏡でがん細胞の有無を調べ、画像に写らない肺がんの早期発見につなげます。
大腸がん検診
名古屋市の大腸がん検診では、40歳以上の方を対象に問診および便潜血検査(2日法)をおこなっています。
大腸がんの代表的な自覚症状は血便です。便潜血検査では、肉眼で捉えられない微量の血液も検出するため、大腸がんの早期発見・治療につながります。
しかし、陽性反応が出た場合でも大腸に異常はなく、痔による出血や胃・十二指腸などの消化管の炎症が影響しているケースが少なくありません。
そのため、陽性と判定された方は精密検査を受けて原因を特定する必要があります。
便潜血検査は、専用の検査キットを医療機関から受け取り、2日分の便を採取して受診日に提出します。一般的に、検査結果は1~2週間程度で自宅に郵送されることが多いです。
子宮がん検診
名古屋市が実施している子宮がん検診は、問診のほか、子宮頸がんの早期発見に有効な視診、内診、頸部細胞診です。
子宮頸がんはほかのがんと異なり、20代・30代でも発症するケースが多いため、20歳以上の女性が対象です。2年に1回の間隔で受診できます。
クスコと呼ばれる器具を腟に挿入して、子宮頸部の腫瘍や炎症の有無を調べる視診と、子宮の形・大きさや左右の卵巣の腫れなどを医師が直接確認する触診をおこないます。
頸部細胞診とは、子宮頸部の細胞を採取して顕微鏡で詳しく観察する検査です。子宮頸部がんはもちろん、がんの前がん病変である異形成の発見にもつながります。
そのほか、問診の結果、一定の症状があり医師が必要と判断した場合に限り、子宮体がん検査として子宮内膜細胞診が受けられます。
乳がん検診
名古屋市在住の40歳以上の女性は、2年に1回、下記のマンモグラフィ検査が受けられます。
- 40~49歳までの方:2方向撮影
- 50歳以上の方:1方向撮影
マンモグラフィ検査とは、乳房専用のX線検査です。乳房内の組織を画像化して、乳がんのサインの一つである「しこり」や「石灰化」などを見つけます。
一般的に、妊娠中は胎児への影響を考慮して検査不可です。また、授乳中や断乳から半年以内は、乳腺の発達により正確な診断が困難なことから検査が受けられない場合があります。
そのほか、ペースメーカー装着中の方や豊胸手術を受けた方は、器具の破損や検査精度の低下が生じる恐れがあるため、事前に医療機関へ申し出ましょう。
前立腺がん検診
名古屋市の50歳以上の男性は、1年に1回、前立腺特異抗原(PSA)検査を受診できます。
前立腺特異抗原(PSA)検査とは、前立腺でつくられる前立腺特異抗原(タンパク質分解酵素)であるPSAを測定する、前立腺がんの腫瘍マーカーです。
前立腺に何らかの異常があるとPSAは血液中に漏れ出すことがわかっています。PSAの値は加齢に伴い上昇するため、基準値は年齢別に設定されています。
- 50~64歳:3.0ng/ml以下
- 65~69歳:3.5ng/ml以下
- 70歳以上:4.0ng/ml以下
(参考:国立がん研究センター がん情報サービス|前立腺がん 検査)
PSAの血中濃度が高く、数値が高い場合は前立腺がんが疑われますが、前立腺肥大症や前立腺炎などの疾患に反応するケースも少なくありません。
名古屋市のがん検診推進事業の概要

名古屋市では、がんの早期発見・早期治療を目指し、検診受診率の向上に努めた取り組み「がん検診推進事業」に注力しています。
がん検診推進事業のおもな内容は、特定の年齢に達した名古屋市民に対するがん検診の無料クーポン券と検診手帳の配布です。
次章では、無料クーポン券送付の対象者や送付時期・有効期限、検診の検査内容や利用する際の注意点などを解説します。
無料クーポン券送付の対象者
令和7年度(2025年)の対象者は、下記のとおりです。
| 検診 | 年齢 | 生年月日 |
|---|---|---|
| 胃がん検診(男性・女性) 大腸がん検診(男性・女性) 肺がん検診(男性・女性) 乳がん検診(女性) | 40歳 | 1984年4月2日~1985年4月1日 |
| 45歳 | 1979年4月2日~1980年4月1日 | |
| 50歳 | 1974年4月2日~1975年4月1日 | |
| 55歳 | 1969年4月2日~1970年4月1日 | |
| 60歳 | 1964年4月2日~1965年4月1日 |
| 検診 | 年齢 | 生年月日 |
|---|---|---|
| 子宮頸がん検診(女性) | 20歳 | 2004年4月2日~2005年4月1日 |
| 25歳 | 1999年4月2日~2000年4月1日 | |
| 30歳 | 1994年4月2日~1995年4月1日 | |
| 35歳 | 1989年4月2日~1990年4月1日 | |
| 40歳 | 1984年4月2日~1985年4月1日 |
| 検診 | 年齢 | 生年月日 |
|---|---|---|
| 前立腺がん検診 | 50歳 | 1974年4月2日~1975年4月1日 |
| 55歳 | 1969年4月2日~1970年4月1日 | |
| 60歳 | 1964年4月2日~1965年4月1日 |
無料クーポン券は、名古屋市が実施するがん検診のみに利用可能です。対象者はこの機会にがん検診を受診しましょう。
送付時期・有効期限
無料クーポン券の送付時期・有効期限は、次のとおりです。
- 送付時期:令和7年(2025年)6月頃
- 有効期限:令和7年(2025年)4月1日~令和8年(2026年)3月31日まで
無料クーポン券と検診手帳は、名古屋市の住民登録のある住所に郵送されます。
検診実施日が有効期限を過ぎた場合、無料クーポンは利用できません。大腸がん検診においては、「検査キットを医療機関へ提出した日」が実施日となります。
受診できる検査内容
無料クーポン券で受診できる検査内容は、次のとおりです。
- 胃がん検診:問診、X線検査または胃内視鏡検査
- 肺がん検診:問診、胸部X線検査
- 大腸がん検診:問診、便潜血検査(2日法)
- 子宮頸がん検診:問診、視診、内診、頸部細胞診
- 乳がん検診:問診、マンモグラフィ検査
- 前立腺がん検診:前立腺特異抗原(PSA)検査
胃がん検診においては、40・45歳の方はX線検査、50・55・60歳の方はX線検査か内視鏡検査のどちらかを選べます。
肺がん検診の基本は胸部X線検査のみです。一部の方には、喀痰細胞診検査が実施されることがあります。
また、子宮頸がん検診の問診の結果、医師が必要と判断した場合には本人の同意を得たうえで子宮体がん検診として子宮内膜細胞診がおこなわれます。
子宮内膜細胞診の費用は500円(税込)です。
利用する際の注意点
無料クーポン券が利用できる検査は限られています。ほかの検査を追加する場合、補助は受けられないため検査費用は自己負担となります。
また、受診回数にも注意が必要です。令和7年度の無料クーポン券の対象者は、令和6年度に検診を受けた方も受診が可能です。
しかし、令和7年度に無料クーポン券を利用して胃がん検診の胃内視鏡検査、子宮頸がん検診、乳がん検診を受けた場合、令和8年度は検診を受けられません。
名古屋市でがん検診を受診できる場所と流れ

名古屋市には、特定の場所・日程で実施する集団がん検診と、市内の協力医療機関によるがん検診があります。
次章では、それぞれの特徴と検診の流れを紹介します。
集団がん検診
名古屋市の集団がん検診は、保健センターをはじめ、ショッピングモール、公民館などで実施しています。
集団がん検診の場所・日程・内容は、下記で確認できます。
- 名古屋市健診(検診)総合サイト
- パンフレット「検診のご案内」
- 集団健診予約センター(052-511-8655)
予約後、自宅に予約受付票と受診券が届きます。受診当日は、保険証とあわせて持参しましょう。
そのほか、女性医師・スタッフによるレディースがん検診では、乳がんを含む5種類のがん検診を一度に受けられます。
レディースがん検診には定員が設けられているため、希望する方は早めに予約しましょう。
協力医療機関
名古屋市が実施するがん検診は、市内の協力医療機関で受診が可能です。
協力医療機関は、下記に掲載されています。
- 名古屋市Webサイト(「がん検診」で検索)
- 名古屋市健診(検診)総合サイト
- 無料クーポン券・受診券に同封の「医療機関等一覧」
電話やWebサイトなどで受診を希望する医療機関に直接申し込み、受診当日は無料クーポン券または受診券、保険証を忘れずに持参しましょう。
なお、申し込みの際は、名古屋市のがん検診である旨を伝える必要があります。
全国どこでも受けられるがん検診「マイクロCTC検査」がおすすめ

マイクロCTC検査は、全国の提携クリニックで気軽に受診できる全身のがんリスク検査です。
1回5分の採血のみで、血中に漏れ出したがん細胞をキャッチして個数を1個単位で明示します。
ここからは、マイクロCTC検査の仕組み・魅力を紹介します。
マイクロCTC検査の仕組み
マイクロCTC検査は、血中を循環するがん細胞そのものを捉える「CTC検査」を進化させた、画期的な血液検査です。
従来のCTC検査では、浸潤・転移する能力を獲得した悪性度の高い間葉系がん細胞の捕捉は、困難といわれています。
マイクロCTC検査の場合、世界屈指のがん研究・治療施設「MDアンダーソンがんセンター(米国)」の抗体を用いた独自の検査手法により、間葉系がん細胞の検出が可能です。
また、検査精度においてもマイクロCTC検査は非常に優れています。
| 従来のCTC検査(セルサーチ) | マイクロCTC検査 | |
|---|---|---|
| 特異度 | 83.35% | 94.45% |
特異度とは、がんではない、すなわち陰性と正しく判定する確率のことを指し、特異度が高いほど誤診の可能性が下がります。
特異度94.45%と非常に高精度である点も、マイクロCTC検査の特徴の一つです。※1
検査は1回5分の採血のみ
マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんリスクがわかる血液検査です。
検査は短時間で終了し、また、完全予約制のため、仕事をはじめ家事、育児などで忙しい方でも受診しやすいでしょう。
そして、予約から結果確認まですべてWebで完結する点もマイクロCTC検査の魅力です。
自宅や外出先から都合のよいときに予約ができ、そして結果説明のために受診する手間もかかりません。
そのほか、マイクロCTC検査ではアフターフォローにも注力しており、がん細胞が検出された方に向けて医師による無料相談を実施しています。
無料相談の概要は、下記のとおりです。
- 相談方法:対面(遠方の方はオンライン面談が可能)
- 予約方法:電話(代々木ウィルクリニック:03-5990-6182)
- 受付時間:9~12時・13~18時の間で最大30分
- おもな内容:検査結果の説明、精密検査・専門医・医療機関などの紹介
万が一のときも、無料相談を利用すれば不安は軽減するでしょう。
料金・提携クリニック
マイクロCTC検査の料金は、1回198,000円(税込)です。※2
全国の提携クリニックで検査を実施しているため、居住地・勤務先などの近隣はもちろん、通勤や買い物などのついでにも受診ができます。
現在、名古屋市内においては、下記のクリニックで検査が可能です。
| クリニック名 | 住所 | 採血可能時間 |
|---|---|---|
| 名古屋がん中央クリニック | 名古屋市中区大須3-30-60 OSU301 4階4号 | 火・水・木の9:00~12:00 |
| かねまきクリニック | 名古屋市中区大井町4-20 | 月・火・水・金の9:00~12:00 |
| 水谷クリニック | 名古屋市中川区高杉町103-8 | 水・土日祝を除く9:00~12:00 |
| きんさんクリニック | 古屋市中区錦3-15-15 CTV錦ビル3F | 月~日の10:30~13:00 |
| リブラささしまメディカルクリニック | 名古屋市中村区平池町4-60-12 グローバルゲート5F | 土日祝を除く9:00~12:00 |
| Henri Clinic名古屋院 | 名古屋市中区栄3丁目6-20 辰晃ビルディング9F | 火を除く10:00~13:00 |
定期的にマイクロCTC検査を活用して、がんの早期発見・早期治療につなげましょう。
名古屋市のがん検診に関するよくある質問

最後に、名古屋市のがん検診に関するよくある質問を紹介します。
がん検診の受診を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
自己負担金が免除になる方とは?
次のいずれかに該当する方は、検査における自己負担金が免除されます。
- 70歳以上の方
- 市民税非課税世帯の方
- 名古屋市医療費助成制度(障害者医療・ひとり親家庭等医療)受給者
- 名古屋市福祉給付金受給者
- 中国残留邦人およびその配偶者に対する支援給付受給者
検診を受ける際は、それぞれの証明書(保護受給証明書、市民税非課税確認書、(障)医療証または(親)医療証、福祉給付金資格者証、本人確認証など)を持参する必要があります。
がん検診は必ず受けたほうがよい?
がん検診の最大のメリットは、がんの早期発見・早期治療につながることです。大半のがんは初期の自覚症状に乏しいため、検診で見つかるケースが少なくありません。
がんを早期に発見した場合、根治の可能性が高くなり、命を落とすリスクは下がります。また、身体的・精神的・経済的な負担が少ない治療の選択や、臓器・機能の温存も可能です。
一方、がんが進行して全身のあらゆる部位に広がると、治療の施しようがない状態になります。
がんから命を守るためにも、定期的にがん検診を受けることが大切です。
無料クーポン券を無くすと受けられない?
無料クーポン券を無くした場合でも、対象年齢の方は無料で受診が可能です。
また、無料クーポン券が届く前に検診を受ける方や、4月18日以降に名古屋市に転入された方でも、対象の年齢であれば無料で受けられます。
まとめ

本記事では、名古屋市のワンコインがん検診と無料クーポン券を中心に解説しました。
名古屋市では、胃がんをはじめ、大腸がん、肺がんおよび結核、子宮頸がん、乳がん、前立腺がんの6種類の検診を実施しており、対象者は各検診500円(税込)で受診が可能です。
また、特定の年齢に達した市民にがん検診の無料クーポン券と検診手帳を配布しており、がん検診の受診率向上を目指しています。
全身のがんリスクを短時間で調べたい方には、マイクロCTC検査がおすすめです。
マイクロCTC検査は1回5分の採血のみで、悪性度の高い間葉系がん細胞を特異度94.45%の高精度で検出するため、がんの早期発見・早期治療に役立ちます。※3
定期的にマイクロCTC検査を活用して自身のがんリスクを把握しましょう。
〈参考サイト〉
※1、※2、※3:マイクロCTC検査 | 血中のがん細胞を捕捉するがんリスク検査



