口腔がんを発症すると、腫れやしこり、粘膜の変色などの症状が出ることがあります。初期には痛みと出血はほぼありませんが、進行すると出てきやすいです。
また、口の開け閉めや食事の飲み込みがしにくくなったり、口臭が強くなったりするケースもあります。
口内の荒れが口腔がんか口内炎なのか見分ける際には、痛みや状態の変化、治癒までの期間に注目するとよいでしょう。
本記事では、口腔がんの症状や原因、口内炎との見分け方、セルフチェック方法について解説します。
また、口腔がんを含む複数のがんリスクの早期発見に役立つマイクロCTC検査もあわせて紹介するため、効率的ながん検診を知りたい方もぜひ参考にしてください。
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口腔がんとは?

口腔がんとは、口の中にできるがんの総称で、舌がんや頬粘膜がんなどの種類があります。
浸潤や転移がない段階で発見した場合の5年生存率は、86.6%です。ただし、発見が遅れれば遅れるほど、数値が低下するため早期発見が非常に重要です。
口腔がんの種類と、進行度別の5年生存率について詳しく解説します。
口腔がんの種類
口腔がんの種類と割合は、次の表のとおりです。
| 種類 | 割合 |
|---|---|
| 舌がん | 54.2% |
| 下歯肉がん | 14.5% |
| 上歯肉がん | 9.1% |
| 頬粘膜がん | 9.0% |
| 口腔底がん | 8.9% |
| 硬口蓋がん | 3.0% |
| 口唇がん | 0.9% |
舌がんが、口腔がんの大半を占めていることがわかります。口腔がんは、女性よりも男性の罹患率のほうが高いです。
口腔がんの5年生存率
口腔がんの5年生存率を進行度別にまとめた表は、次のとおりです。
| 進行度 | 5年生存率 |
|---|---|
| がんが発生部位に留まる段階 | 86.6% |
| 周囲のリンパや臓器に広がる段階 | 53.5% |
| 離れた臓器やリンパにまで広がる段階 | 13.9% |
浸潤や転移がない初期の口腔がんは、5年生存率が85%を超える一方で、離れた臓器やリンパにも広がると13.9%まで低下します。
5年生存率を低下させないためには、早期発見が欠かせないことがわかります。しかし初期の口腔がんは無症状のため、発見が遅れるケースも多いです。
そのため、早期発見に役立つセルフチェックやがん検診の継続が非常に重要です。
口腔がんの原因

口腔がんの主な原因は、喫煙と飲酒です。
ほかにも、虫歯や合わない入れ歯による刺激、不十分な歯磨きも口腔がんの発症リスクを高めます。
口腔がんの主な原因について、詳しく解説します。
喫煙
喫煙は、多くの発がん性物質の摂取につながるため、口腔がんの発生リスクを高める主な原因になります。
男性では、非喫煙者と比較して、喫煙者のほうが口腔がんの発症リスクが2.4倍上昇すると報告されています。
また、1日の喫煙箱数×喫煙年数で求められる累積喫煙指数が60以上になる喫煙者は、非喫煙者に比べて口腔がんの発症リスクが4.3倍も高いです。
女性においても、発症リスクは喫煙者のほうが増加する傾向が認められているため、喫煙者には禁煙を推奨します。
飲酒
飲酒もさまざまながんの発症リスクを高めるため、控えるべきです。
男性では、非飲酒者と週1回以上の飲酒者の口腔がん発症リスクを比べると、飲酒習慣のある方のほうが2.2倍高いです。
さらに、1日平均2合以上の飲酒を続ける方の発症リスクは、非飲酒者の3.8倍まで上昇します。
喫煙と同様、女性も飲酒者のほうが非飲酒者より発症リスクが増加するため、男女問わず生活習慣の見直しを推奨します。
日常的な刺激
虫歯や欠けた歯、合わない入れ歯の放置、不十分な歯磨きなどは口腔内に刺激を与え、口腔がんの発症リスクを高める原因になります。
虫歯や欠けた歯、合わない入れ歯や差し歯は、頬や歯肉、舌を傷つける可能性が高いです。
日常的な刺激は、口腔がんの中でもとくに舌がんの発生に強く影響すると考えられているため、改善が必要です。
また、デンタルケアが不十分で歯石や磨き残しが多い方、歯周病を罹患している方は、口腔がんを発症しやすい傾向があります。
口腔内の環境を整えて、日常的な刺激をなくすことが口腔がん予防につながります。
口腔がんの主な症状

口腔がんが進行すると、口腔内に痛みを伴う腫れや出血が見られることがあります。
また、口の開け閉めや、食事の飲み込みが困難になったり、口臭が強くなったりする場合もあるため、口腔がんの主な症状について解説します。
痛み・腫れ・出血がある
口腔がんは腫れやしこり、粘膜の変色、変形などの症状がみられることがありますが、初期の段階では痛みや出血はほぼありません。
しかし、がんが進行すると刺すような強い痛みを感じたり、ただれた部分から出血したりする場合があります。
早期発見には、痛みや出血がない時点で検査を受けることが望ましいものの、放置して受診が遅れるケースも多いです。
腫れに加えて、痛みや出血も生じた場合には、すぐに専門医の診察を受けましょう。
口が開けにくい・食事が飲み込みにくい
口の開け閉めがしにくい、食事の飲み込みがスムーズにできない、会話がしにくいなどの症状は、口腔がんの進行を示している可能性が高いです。
口や喉の動きに違和感がある場合、リンパ節への転移によりあごの下や首筋に痛みを伴わないしこりができていることがあります。
気のせいかもしれない、たまたま調子が悪いだけなどと油断せず、すぐに検査を受けましょう。
強い口臭がある
口腔がんが進行すると、強い口臭が出ることがあります。ただし、すべての方にあらわれるとは限りません。
急に口臭が強くなったと自覚したり、家族に口臭を指摘されたりして、口臭対策を講じる場合は、口腔がんの検査も取り入れるとよいでしょう。
強い口臭に加えて、口腔内の荒れや痛み、出血なども生じている際には、躊躇せずに受診すべきです。
口腔がんと口内炎の見分け方は?

口腔がんと口内炎は、痛みの有無や治癒までの期間に注目して比較すると見分けやすいです。
口の中は自身の目で確認できるため、セルフチェックで口腔内の状態を把握しましょう。
注意が必要な状態や、口腔がんのセルフチェック方法について詳しく解説します。
治らない口内炎に注意
2週間以上治らない口内炎は、口腔がんの可能性があるため注意が必要です。
日常生活の中で生じる口内炎は、ストレスや免疫力の低下、栄養不足などが原因で、1週間程度で自然に治ることが多いです。治癒に伴い潰瘍も改善します。
一方、口腔がんを発症している場合、がん細胞の影響で潰瘍が発生している可能性が高く、自然治癒は期待できません。
さらに、がんが進行すると潰瘍の色や大きさが変化し、状態が悪化するケースもあります。
口内炎が2週間以上治らないときは、口腔がんの可能性を疑い、必要な検査を受けましょう。
口腔がんのセルフチェック方法
口腔がんのセルフチェックは、明るい場所に大きな鏡を用意して、入れ歯を外した状態でおこないます。頻度は週1回が目安です。
次のような手順で、全体をよく観察しましょう。
- 唇の内側、歯肉の外側を観察
- 頬内側の粘膜を観察
- 歯肉の内側を観察
- 上顎を観察
- 舌、口腔底を観察
ガーゼやティッシュを巻いた指で口内に触れ、しこりや肥大の有無も確認します。とくに注意深い観察が必要な舌は指で優しく挟み、動かしながら隅々まで確認しましょう。
次のような異変や状態が見られる場合は、口腔がんの症状である可能性が高いです。
- 長引く腫れやしこりがある
- 粘膜が赤や白に変色している
- 2週間以上治らない口内炎がある
- 口を動かしにくい
- 食べ飲みしにくい
セルフチェックで上記の異変を発見した場合は、すぐに医療機関で検査を受けることを推奨します。
口腔がんの検査方法と治療法

まず視診と触診をおこない、口腔がんが疑われる際は病理検査に進みます。
その後、必要に応じて画像検査を実施し、がんの広がりや転移の状態を正確に診断します。
初期の治療は、放射線療法、手術療法、化学療法から適切な治療法を選択するケースが多いです。進行すると、治療の併用や緩和ケアの追加が必要になる場合もあります。
口腔がんの検査方法と治療法について、詳しく解説します。
検査方法
視診と触診で口腔内にしこりや粘膜の変色などが発見された場合、病変部の一部を切除し病理検査を実施します。
病理検査で悪性腫瘍と確定した際には、CTやMRI、PETとよばれる画像検査でがんの状態を詳しく調べます。
CTは、トンネル状の装置に仰向けの姿勢で入り、体の断面を画像化する検査です。がん細胞や転移部分が白く映ります。
MRIは、より強い磁力や電波を使用する画像検査です。閉所恐怖症の方や、過去に造影剤で副作用の症状が出た方は、必ず事前に医師に相談しましょう。
PETは、細胞内のブドウ糖分布を可視化する検査です。がんがあると反応して映るため、発生部位の特定に役立ちます。
進行具合に適した検査を受けることで、がんの状態を正確に把握でき、適切な治療法の選択につながります。
治療法
口腔がんは状態にあわせて、手術療法、放射線治療、化学療法を単独または併用して治療を進めます。
浸潤や転移がない口腔がんを切り取る場合は、がんの発生部位を大きめに切除する原発巣手術が選択されることが多いです。
放射線療法はがん細胞の縮小や消失を目的とする治療で、化学療法は抗がん剤を使用する治療です。
治療法ごとの欠点や副作用を十分考慮し、効果的な治療方針を検討します。
口腔がんは再発が多いため、治療後も経過観察が必要です。治療から1年間は1~2か月に1回程度、その後間隔を減らしながら5年間は定期的な受診を継続しましょう。
マイクロCTC検査で全身のがんの早期発見が可能
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病理検査や画像検査に抵抗がある方や、がん検診の時間を確保しにくい方には、マイクロCTC検査がおすすめです。
わずか10㏄の採血のみで、血液がんを除く全身のがんリスクを判定でき、所要時間は1回5分です。
マイクロCTC検査は血中に漏れ出たがん細胞を捕捉するため、視診や触診での発見が難しい初期のがん検出にも役立ちます。
がん治療における早期発見の重要性や、マイクロCTC検査の特徴について詳しく解説します。
がんの早期発見が重要な理由
口腔がんに限らず、多くのがんは治療開始が早いほど5年生存率が高く、治療の負担を軽減できます。
浸潤や転移が起こる前にがんを発見できると、治療法の選択肢が広がるうえ、さまざまな負担を抑えられるため、がんの早期発見は非常に重要です。
しかし、初期症状が出にくいがんは受診が遅れやすく、発見が遅れるケースが多いです。また、早期がんは視診や触診での発見が難しいこともあります。
一方、血中に漏れ出たがん細胞を捕捉するマイクロCTC検査ならば、早い段階でがんリスクを検出できる可能性が高く、早期発見と早期治療に効果的です。
検査は1回5分の採血のみ
マイクロCTC検査は1回5分の採血のみで、採取量はわずか10㏄です。
通常、口腔がんの検査では視診や触診をおこない、必要に応じて病理検査や画像検査も実施します。
検査が増えると、身体的にも時間的にも負担が大きくなりますが、マイクロCTC検査ならば採血が終わればすぐに帰宅できるため、仕事や予定の合間でも受けやすいです。
時間の確保が難しいことが理由でがん検診を諦めている方は、マイクロCTC検査の受診を検討するとよいでしょう。
料金・クリニック概要
マイクロCTC検査の料金は、1回198,000円(税込)です。
複数の検査で全身のがんリスクを調べる場合、30万円前後かかることがあるうえ、前日からの食事制限や長時間の検査など、料金以外の負担も大きくなりがちです。
コストを抑えながら、効率のよいがん検診を受けたい方には、マイクロCTC検査が適しています。
提携クリニックは全国に180件以上あるため、利便性の高いクリニックを見つけやすいでしょう。結果はオンライン上で確認でき、再来院は不要です。
都市部以外でもがん検診を受けたい方は、公式サイトから提携クリニックを検索してみるとよいでしょう。
口腔がんの症状や原因に関するよくある質問

最後に、口腔がんの症状や原因に関するよくある3つの質問に回答します。
口腔がんの進行スピードや効果的な予防策、受診先について知りたい方はぜひ参考にしてください。
口腔がんの進行スピードは?
口腔がんの進行スピードは、罹患者の健康状態や体質、治療開始までの期間などにより異なります。そのため、進行スピードが早い、もしくは遅いと断定はできません。
しかし、国立がん研究センターによると、口腔がんの中で最も割合が多い舌がんは、早い段階で首のリンパに転移する可能性があると報告されているため、注意が必要です。
触れても痛くない腫れやしこり、2週間以上治らない口内炎がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
口腔がんを予防するコツは?
口腔がん予防には、発症リスクを高める生活習慣の見直しと、免疫力の低下対策が大切です。
具体的には、次のような予防策が効果的です。
- 喫煙と飲酒を控える
- 栄養バランスの整った食事を規則正しく摂る
- 口腔環境を清潔に保つ
- 虫歯や欠けた歯はすぐに治療する
- 合わない入れ歯を使用しない
喫煙と飲酒は、口腔がんを含むさまざまながんの発症リスクを高めるため、控えたほうがよいです。
健康的な食事を規則正しく摂ることで、栄養やエネルギー不足を防ぎ、免疫力の低下予防に効果が期待できます。
また、歯磨きやうがい、定期的な歯科検診で口腔環境を清潔に保つ、口腔内に刺激を与える虫歯や欠けた歯を放置しないことも非常に重要です。
入れ歯を使用している方は、合わなくなったらすぐに調整しましょう。合わない入れ歯の使用は、舌や頬、歯肉を傷つけ、がんの発症リスクを高める恐れがあります。
何科を受診すべき?
口腔がんの治療は、口腔外科や頭頚部外科、耳鼻咽喉科が専門となります。
自身が口腔がんを罹患しているかわからない場合は、歯科や耳鼻咽喉科を受診し、口腔内の状態を確認しましょう。
専門的な検査や治療が必要ならば、適切な医療機関の紹介が受けられます。
まとめ

口腔がんの主な原因は、喫煙と飲酒です。虫歯や合わない入れ歯を直さないことも、口内を傷つける原因になり、口腔がんの発症リスクを高めます。
口腔がんの初期には、触れても痛くない腫れやしこり、粘膜の変色などの症状が出て、進行すると痛みや出血も生じる傾向があります。
また、口の開け閉めや食事の飲み込みがしにくくなる、口臭が強くなる場合も、口腔がんの進行が疑われるため、早めの検診が必要です。
口腔がんの検診では視診と触診にくわえ、必要に応じて病理検査や画像検査をおこないます。
検査に抵抗がある方や、時間の確保が難しい方には、1回5分の採血のみで血液がんを除く全身のがんリスクをまとめて判定できるマイクロCTC検査がおすすめです。
悪性度の高いがん細胞のみを捕捉できる検査で、通常の検診では発見が難しい早期がんの検出にも役立ちます。
口腔がん以外のリスクも調べられるため、負担を軽減しながら効率的な検査が受けられます。
がんは、早期発見早期治療で5年生存率が格段に上がる病気です。自身に適した検査を定期的に受け続けましょう。



