大腸の一部である直腸に発生する直腸がんは、初期症状が出にくく、発見が遅れやすいです。
直腸がんの早期発見には定期的ながん検診が有効ですが、下剤や造影剤を使用したり、肛門から触診したりと抵抗を感じる検査が多いため、見送る方もいるでしょう。
進行速度は比較的ゆっくりですが一定ではなく、浸潤や転移が見られるようになるとがんが進むスピードが早まるケースが多いです。
また、ステージが進むほど治療が難しく生存率が低下するため、早期発見が非常に重要です。
本記事では、直腸がんの進行速度や初期症状、検査方法などを詳しく解説します。
早期発見が生存率を高める理由もあわせて紹介するため、ぜひ健康管理に活用してみてください。
直腸がんとは?

直腸がんとは、大腸の一部で、肛門の近くに位置する直腸にできる悪性腫瘍のことです。
直腸がんが進行すると、排便の際に鮮血が出たり、便に血が混ざったりする場合がありますが、痛みを伴わないため放置する方も珍しくありません。
がんのサインを見逃さないためにも、まずは直腸がんの詳細や初期症状、自覚症状について解説します。
直腸に発生した悪性腫瘍
直腸は、食べ物が排せつされるまでに通過する管の最後に位置する部位で、長さは15~20cmほどです。
良性の腺腫(ポリープ)ががん化するタイプと、粘膜の正常な細胞から悪性腫瘍が発生するタイプがあり、いずれも進行すると膀胱や前立腺など周辺の臓器に広がります。
また、リンパ液や血液を通して、ほかの臓器に遠隔転移するケースもあります。
結腸の悪性腫瘍は、腸内で出血しても排便までに時間がかかるため気が付かない場合もありますが、肛門までの距離が近い直腸に発生する悪性腫瘍は、出血を確認しやすいです。
直腸がんの初期症状・自覚症状
直腸の粘膜には痛覚がないため、悪性腫瘍が発生しても痛みを感じないことから、直腸がんには、初期症状がほぼありません。
ただし、自覚できる症状として、血便、便秘、便意頻回、便が細くなるなど排便に関する異変や腹痛が挙げられます。
また、早期の段階で症状が出にくい直腸がんは、定期検診で便潜血検査を受けたことをきっかけに見つかるケースもあります。
直腸がんの場合、自覚症状が出る段階になると、がんが進行し腫瘍が成長している可能性が高いです。
排便時の出血を見て痔と自己判断する方も多いですが、痛みを伴わない出血こそが直腸がんの可能性を疑ったほうがよいでしょう。
直腸がんの進行速度は?

直腸がんの進行速度には個人差があるものの、比較的ゆっくり進行するケースが多いです。
直腸がんが進行するスピードや、年齢と進行速度の関係、進行速度に影響を与える原因を解説します。
比較的ゆっくり進行する
直腸がんが進行がんになるまでの進行スピードは個人差が大きく、数年の時間を要する方も多いです。
そのため、直腸がんは比較的ゆっくり進行するがんの一つとして知られています。
ただし、早期発見が難しいがんでもあるため、発覚したときにはすでに病状が進んでいる可能性もあります。
ゆっくり進行するから大丈夫と油断せずに些細なサインを見逃さないよう心がけることが大切です。
年齢は影響しない
高齢でがんになると進行が早いと考える方もいるかもしれませんが、年齢が直腸がんの進行速度に影響を与えることはありません。
高齢者のほうががんの進行が早いと感じるのは、十分な治療を受けられないケースが増えることが影響しているといえるでしょう。
がんが見つかったら進行を遅らせることを目的に、ステージに適した治療を開始しますが、高齢者の体力では手術や抗がん剤治療が難しい場合があります。
また、持病により臓器機能が低下している可能性も高く、合併症や副作用の懸念から限定的な治療になることも珍しくありません。
年齢ががんの進行速度に影響を与えるのではなく、加齢に伴うさまざまな要因で高齢者の治療が不十分になる傾向が強いため進行が抑えられないと考えられます。
進行速度に影響を与える原因
体質やがんの種類以外では、生活習慣や食生活なども直腸がんの進行速度に影響を与える可能性があります。
喫煙やアルコールの過剰摂取は、直腸がんを含む多くのがんの原因となるうえ、進行速度を早める要因になり得るため、改善が必要です。
ほかにも、慢性的な運動不足や睡眠不足、栄養の偏りは免疫力低下につながり、がんの進行が早まる可能性があります。
がんの進行を早めないためにも、免疫力が低下するような生活習慣は見直し、禁酒や禁煙に努めましょう。
直腸がんの進行速度を把握するポイント

比較的ゆっくり進行する直腸がんですが、進行速度は常に一定ではありません。
ステージが進むにつれてがんの進行は早くなるケースが多いため、自身の状態を知ることは進行速度の把握につながります。
そこで、ステージを3段階に分けて、それぞれの進行速度について詳しく解説します。
大腸の壁への浸潤度
浸潤とは、がん細胞が周りの組織を壊して拡大していく反応を指します。
直腸がんの場合、発生初期の悪性腫瘍は粘膜内または筋肉層にとどまりますが、進行すると徐々に大腸の壁へと広がります。
直腸に発生したがん細胞が、診断可能なサイズに成長するまでには10~20年ほどの時間がかかることが一般的で、進行速度は年単位です。
ただし、大腸の壁への浸潤が進むにつれて進行速度は早まるため、ゆっくり進行するのは早期がんに分類される初期のみと考えたほうがよいでしょう。
リンパ節への転移
直腸に発生した悪性腫瘍が大腸の壁へ浸潤し、リンパ節への転移が認められる段階になると進行速度は半年単位と早まり、血便や腹痛などの症状があらわれることが一般的です。
リンパ節に転移している場合は、子宮や膀胱、前立腺など直腸周辺の臓器にがんが拡大している可能性が高く、早期がんに比べると治療が難しくなります。
しかし、適切な薬物療法や手術を受けることで、進行を抑える効果が期待できます。
他の臓器への転移
直腸から離れた場所にある臓器への転移が認められる段階になると、進行速度は月単位とさらに早まり、治療方針が見直されるケースが多いです。
がん治療の主な目的は、がん細胞を減らして進行を遅らせることです。しかし、ほかの臓器にまでがん細胞が広がった状態だと、進行を抑えることは非常に難しくなります。
そのため、手術や薬物療法とあわせて、痛みのコントロール、生活の質の維持や向上など、患者の苦痛を緩和するケアも重視されるようになります。
直腸がんの検査方法・治療法

直腸がんは主に、指診や造影検査、内視鏡検査などの方法で調べることが一般的です。
がんが見つかった場合には、ステージやがんの状態にあわせて内視鏡治療や手術、薬物療法を受けることになります。
直腸がんの検査方法や治療法について、詳しく解説します。
検査方法
直腸がんを調べる検査方法には、次のようなものがあります。
- 直腸指診
- 造影検査
- 内視鏡検査
- CT、MRI、腹部超音波検査
- がん遺伝子検査
- 腫瘍マーカー検査
直腸がんを調べる際にはまず、肛門から指を挿し込み直腸内の状態を触診します。
造影検査や内視鏡検査は、腫瘍の有無を確認するために効果的な検査ですが、大量の下剤を飲む必要があるため苦手意識が強い方も多いでしょう。
悪性腫瘍が確認された場合、CTやMRI、腹部超音波検査で転移がないか確認します。必要に応じて、がん遺伝子検査や腫瘍マーカー検査がおこなわれるケースもあります。
治療法
内視鏡で治療できる場合は腹部を切開せずにがん組織を切除し、経過を観察する方法が一般的です。
内視鏡治療が困難、または浸潤が進んでいる場合は開腹手術や腹腔鏡下手術で、がん組織を切除します。
がん組織を切除しても再発リスクが高い、リンパ節への転移が認められる場合は、手術後に薬物療法をおこなうケースが多いです。
遠隔転移の段階になると、手術や薬物療法に加えて、放射線治療や対症療法なども提案されることがあります。
直腸がんの治療法は、ステージやがんの状態により大きく異なるため、医師とよく相談して決めるとよいでしょう。
直腸がんの5年生存率は高い?

直腸がんの5年生存率はステージにより異なります。
ここからは、ステージごとの5年生存率を紹介するとともに、早期発見が大切な理由を詳しく解説します。
直腸がんの5年生存率
直腸がんの5年生存率をステージごとにまとめた表は、次のとおりです。
| ステージ | 5年生存率 |
|---|---|
| ステージ0~1 | 90%以上 |
| ステージ2 | 70~80% |
| ステージ3 | 50~60% |
| ステージ4 | 約20% |
ステージ0~1の時点で適切な治療を受けた場合、5年生存率は90%以上と非常に高いです。
しかし、初期症状がほぼない直腸がんは発見が遅れがちで、発覚したときにはステージ2や3まで進行している場合もあります。
がんの進行が進むにつれて5年生存率が低下していく理由は、がんが直腸以外にも広がり治療が難しくなるためです。
早期発見が重要
初期の直腸がんは、腹部を切開しなくてもがん組織を切除できる可能性が高く、根治も見込めます。
発見が早ければ早いほど治療の選択肢が多く、肉体への負担も少ないため、生存率を高めるためには早期発見と早期治療が重要といえます。
排便に関する異変や、痛みを伴わない出血などの症状がみられる場合、すでに直腸がんが進行している可能性が高いです。
そのため、自覚症状がなくても定期検診を受け、初期の段階で発見できるよう努めましょう。
直腸がんの早期発見にマイクロCTC検査がおすすめ

初期症状がほぼなく発覚が遅れやすい直腸がんの早期発見には、定期検診が効果的です。
しかし、バリウムや内視鏡、肛門からの触診などに抵抗があり、検診を見送る方もいるでしょう。
検査が嫌で直腸がんの検診を受けていない方には、1回5分の採血のみでがんリスクを調べられるマイクロCTC検査がおすすめです。
さまざまな理由からがん検診を避けてきた方に、マイクロCTC検査をおすすめする3つの理由を詳しく解説します。
1回5分の採血のみで負担が少ない
マイクロCTC検査とは、1回5分の採血のみで血中のがん細胞の個数がわかる手軽な検査です。
直腸がんの検診は、指診や造影検査、内視鏡検査など精神的にも肉体的にも負担のかかる検査が多く、抵抗を感じる方も少なくないでしょう。
一方で、採血のみでがんリスクを調べられるマイクロCTC検査は非常に負担が少なく、気軽に受けやすいです。
また、採血は1回5分で済むため、忙しくて検診を受けられなかった方にも向いています。
病院に拘束される時間が非常に短いため、仕事の合間や貴重な休日などでも受けられて便利です。
触診やバリウムに強い抵抗がある方、定期検診を受診する時間が取れない方は、マイクロCTC検査を検討するとよいでしょう。
直腸がん以外の早期発見も可能
マイクロCTC検査は、血液がんを除いた全身のがんリスクを一度の検査で確認できます。
全身のがんを調べる場合、複数の検査を受ける必要があり、1日では調べきれないケースもあります。
また、初期の大腸がんや胃がんなどはCT検査での発見が難しく、見落とされる可能性も否定できません。
一方で、血中に漏れ出したがん細胞そのものを検出するマイクロCTC検査は、複数のがんの早期発見に効果的な方法です。
直腸がん以外の検診も検討している方は、マイクロCTC検査を活用すると効率よくがん検診を済ませられます。
クリニック概要・料金
マイクロCTC検査は、1回198,000円(税込)で受けられます。
提携クリニックは全国に180件以上もあるため、来院しやすいクリニックが見つかる可能性が高いでしょう。
検査内容はWebで確認できるため、結果を聞きにクリニックを再来院する必要はありません。
万が一、がん細胞が検出された場合は、専門医師の無料相談が受けられます。オンライン面談にも対応しているため、遠方に住んでいる方も安心です。
直腸がんの進行速度に関するよくある質問

最後に、直腸がんの進行速度に関するよくある3つの質問に回答します。
直腸がんの進行に関する不安がある方、大腸がんとの違いを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
進行を遅らせることはできる?
ステージや状態に適した治療を施せば、がんの進行をある程度遅らせることは可能です。
初期の段階でがん細胞をすべて切除できれば、根治する可能性もあります。
治療以外だと、適度な運動や十分な睡眠、栄養バランスの整った食事で免疫力を高めることも効果的です。
また、アルコールの過剰摂取や喫煙は、がんの進行を早める要因になるため、控えましょう。
適切な治療に加え、生活習慣や食事内容の改善に取り組むと、がんの進行を遅らせることにつながります。
直腸がんと大腸がんの違いは?
大腸がんとは、1.5mほどある大腸に発生したがんの総称で結腸がんと直腸がんをあわせて大腸がんと呼びます。
直腸がんは、肛門へつながる20cmほどの範囲に発生したがんのみを指す名称です。
直腸以外に発生したがんは結腸がんと呼ばれます。
ステージ4でも完治できる?
直腸がんでステージ4と診断されても、完治をあきらめる必要はありません。
ステージ4は治療が難しく、5年生存率は約20%と低いですが、転移した部分次第では手術で切除できる可能性があります。
切除が難しい場合でも、薬物療法により切除が可能になるケースもあります。
ステージ4は完治しないとは言い切れないため、決してあきらめずに、効果を期待できる治療法を探しましょう。
まとめ

直腸がんは比較的ゆっくり進行するがんとされていますが、進行速度は一定ではなく、ステージが進むにつれて早くなります。
5年生存率は、ステージ0~1の場合90%以上と高いものの、ステージ4になると約20%まで低下します。
そのため、早期発見と早期治療が非常に重要ですが、直腸がんは初期症状がほぼないため発見が遅れがちです。
早期発見に効果的ながん検診は、バリウムや下剤、指診など抵抗を感じる検査が多く、受けたくないと感じる方も少なくありません。
直腸がん検診に強い抵抗を感じる方には、1回5分の採血のみで複数のがんリスクを判定できるマイクロCTC検査がおすすめです。
肉体的にも精神的にも負担が軽いうえに、血中のがん細胞を捕捉する高精度の検査で、初期のがん細胞の発見に高い効果が期待できるため、初期症状が出にくい直腸がんの早期発見に有効です。
マイクロCTC検査ならば、直腸がんを含むさまざまながんの早期発見につながります。



