レントゲン検査ではX線と呼ばれる放射線を用いるため、放射線被ばくの影響を不安視する方もいるでしょう。
1回の放射線被ばく量が100mSvを超えるとがんの発生率が上昇する可能性はありますが、通常のレントゲン検査の放射線被ばく量は少量です。
そのため、レントゲン検査のみががんの原因になることはほぼありません。被ばくのダメージはすぐに修復できるレベルであることから、日数を空けて検査する必要もないです。
本記事では、レントゲン検査でがんになるのか、がんはどのように写るのかなど詳しく解説します。
放射線被ばくの影響が不安な方、レントゲン検査によるがんの写り方や写らないリスクを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
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レントゲン(X線)検査とは?

レントゲン(X線)検査とは、直接観察できない臓器や骨に異常がないか調べるための検査で、X線を用いておこないます。
肺がん、乳がん、胃がんなどを調べる際は、はじめにレントゲン検査をおこなうことが多く、がんの疑いのある影の有無、がんの広がりの有無、腫瘍の形の確認が主な目的です。
レントゲン検査にかかる費用は、医療機関ごとに異なります。
まずは、レントゲン検査の目的と費用について、詳しく解説します。
レントゲン検査の目的
レントゲン検査の目的は、内臓や骨の異常を早い段階で見つけることです。がんの場合は、がんの可能性がある影の有無や広がり、腫瘍の形状などの確認を目的とします。
胸部や腹部、乳房、骨などの状態を調べる際に有効な検査で、次のようながんの検査としておこなわれるケースが多いです。
- 胃がん
- 肺がん
- 食道がん
- 大腸がん
- 乳がん
- 骨のがん
レントゲン検査で見つかった疑わしい影が、すべてがんに直結するわけではありません。レントゲン検査の目的はあくまで異常の有無の確認で、必要に応じて次の検査につなげることが重要です。
レントゲン検査にかかる費用
レントゲン検査にかかる費用相場は、保険適用の3割負担で数百円~数千円程度です。
がんに対するレントゲン検査は、次のようにさまざまな目的があります。
- がんの疑いの有無を観察
- がん治療の一環
- がん治療の経過観察
レントゲン検査は目的により撮影枚数や撮影箇所が異なるため、費用に差が生じます。詳しい費用を知りたい場合は、医療機関に直接問いあわせてください。
レントゲン検査でがんになる?何日空けるべき?

レントゲン検査のみが原因でがんになる可能性は極めて低いです。そのため、検査の際に日数を空ける必要はありません。
レントゲン検査に用いるX線は放射線のため、被ばくによるリスクを不安視する方もいますが、検査時に受ける放射線量は非常に少なく健康への影響はほぼないです。
ただし、胎児の発育に影響を与える可能性はゼロではないため、妊娠中にレントゲン検査を提案された場合は、必ず医師に正確な妊娠週数を伝えてください。
レントゲン検査での放射線被ばくによる健康への影響や、妊娠中にレントゲン検査を受けるリスクについて、詳しく解説します。
放射線被ばくによる健康への影響はほぼない
レントゲン検査で受ける放射線量は非常に少なく、健康への影響はほぼありません。がんの原因になる可能性も極めて低く、過度な心配は不要です。
1回の放射線被ばく量が100mSv以上でがんの発生率が上昇しますが、胸部レントゲン検査1回の放射線被ばく量は0.06mSvで、健康に影響を与える量には達しません。
レントゲン検査を何度も繰り返し受けた場合は、がんのリスクがわずかに高まる可能性を否定できないため、健康への影響がまったくないとは断言できません。
しかし、喫煙や過度な飲酒、肥満などが与える影響のほうが大きいことから、放射線被ばくによる健康への影響はほぼないといえます。
また、わずかな放射線被ばくによるダメージはすぐに修復されるため、レントゲン検査を1か月空けて受けたときと、2日連続で受けたときの影響に差はありません。
放射線被ばくの影響が不安だからとレントゲン検査を先延ばしにせず、必要なタイミングで受けましょう。
妊娠中にレントゲン検査を受けるリスク
妊娠中にレントゲン検査を受けると、稀に流産につながることがあります。また、胎児に次のような先天異常が起こるリスクもあります。
- 外表または内臓の奇形
- 発育遅延
- 精神遅滞
- がんや白血病
レントゲン検査が与える胎児への影響は、検査を受ける時期により異なります。
たとえば、レントゲン検査を着床前期(受精後0~8日)に受けると胎芽死亡による流産、器官形成期(受精後8~15週)に受けると精神遅滞が起こりやすいとされています。
また、奇形は器官形成期(受精後2~8週)にレントゲン検査を受けた場合にのみ起こるため、正確な妊娠週数の把握が非常に重要です。
ただし、胎児に影響が出るとされる値(しきい値)を超えるレントゲン検査はありません。
リスクごとのしきい値、各レントゲン検査の最大胎児被ばく線量を次の表にまとめました。
【リスクとしきい値】
| リスク | しきい値(mGy) |
|---|---|
| 流産 | 100以上 |
| 奇形 | 100~200 |
| 発育遅延 | 100以上(動物実験) |
| 精神遅滞 | 120 |
| がんや白血病 | 50以上 |
【検査別最大胎児被ばく線量】
| 撮影部位 | 最大胎児被ばく線量(mGy) |
|---|---|
| 頭部 | 0.01以下 |
| 胸部 | 0.01以下 |
| 腹部 | 4.2 |
| 腰椎 | 10 |
| 骨盤部 | 4 |
通常、胎児に影響を与えるほどの放射線を受けるレントゲン検査はなく、先天異常が起こる確率が検査の影響で自然発生率を上回ることはありません。
そのため、過度な心配は不要ですが、妊娠中のレントゲン検査で起こり得るリスクに関する知識は身につけておきましょう。
レントゲン検査でがんは写る?写らない?

レントゲン検査でがんが写ることはありますが、必ず写るとは限りません。また、写り方や医師の技量次第では見落としが起こる可能性もあります。
レントゲン検査によるがんの写り方や見落としが起こる可能性、レントゲン検査とCT検査の違いについて詳しく解説します。
レントゲン検査によるがんの写り方
がんがある程度大きくなると円や楕円形の白い影として写り、がんが原因で炎症を起こしていると霧がかかったように白く写ります。
レントゲン検査はX線の透過度の差にあわせて、色に濃淡をつけ写し出しており、胸部を撮影すると透過しにくい骨は白く、透過しやすい空気の入った正常な肺は黒く写ります。
がんの可能性が疑われる腫瘍が白く写るのは、X線の通り方に差が生じるためです。
がんによる炎症が、ピンポイントではなく周囲にまで及んでいると、白黒の濃淡はハッキリせず霧のように写りやすいです。
また、気管が左右のどちらかにずれた状態で写ると、成長した腫瘍に圧迫されている可能性が疑われ、甲状腺がんが発見されるケースもみられます。
レントゲン検査では、がんが白い影として写る、がんの影響を受けた異常が写るなど、さまざまな写り方が確認できます。
見落としが起こる可能性がある
レントゲン検査では、判断が難しい部位のがんが見落とされる可能性があります。また、画像の解析や判断には専門的な知識が必要で、医師の経験による検出精度の差もゼロではありません。
血管や臓器が重なる部分に腫瘍がある場合、平面として写し出すレントゲン検査では影の確認が難しく、腫瘍の発見に至らないことがあります。
肺の上部は肺がんが発生しやすい部分であるものの肋骨や鎖骨、肩甲骨が集まるため判断が難しく、見落としが起こるケースも多いです。
レントゲン検査の画像解析は、経験を重ねた医師でも写り方次第で見落とすことがあります。
レントゲン検査はがんの発見に役立つ有用な検査のひとつですが、必ずしもがんを見つけられる検査ではない点を理解しておきましょう。
レントゲン検査とCT検査の違い
レントゲン検査とCT検査には、次のような違いがあります。
| レントゲン検査 | CT検査 | |
|---|---|---|
| X線のあて方 | 一方向から | 多方面から |
| 画像の特徴 | 平面的 | 立体的 |
| 被ばく量 | 比較的少ない | レントゲンより多い |
| 主な用途 | 最初のスクリーニング(ふるい分け) | より詳しい診断 |
レントゲン検査は一方向からX線をあて平面的な画像を作成し、CT検査では多方面からX線をあて体の内部を立体的に画像化します。
断面図を確認できるCT検査は、腫瘍の位置や形状をより細かく把握できますが、レントゲン検査よりも放射線被ばく量が多いです。
放射線被ばく量の目安は、レントゲン検査の場合、胸部は0.01mSv、胃は1mSvで、CT検査は1回10mSvとなります。
レントゲン検査は異常の有無を確認する検査、CT検査はより詳しく調べる検査として異なる役割を担っているため、必要に応じて使い分けられます。
がんを調べるレントゲン検査の流れや注意点

がんを調べるためのレントゲン検査では、必要に応じて検査着に着替え、身支度を整えてから検査を受ける流れが主流です。
胃のレントゲン検査では、発泡剤とバリウムを飲んでから検査開始となります。
検査時はアクセサリーや湿布、カイロなどを外す、長い髪は結ぶなどの注意点があります。
また、ペースメーカーを埋め込んでいる方、妊娠中もしくは妊娠の可能性がある方は必ず事前申告が必要です。
がんを調べるレントゲン検査の流れや受ける際の注意点について、詳しく解説します。
レントゲン検査の流れ
レントゲン検査の主な流れは、受付→準備(必要に応じて着替え)→検査開始となります。受付を済ませたら、スタッフの指示に従い準備を進めてください。
検査着への着替えが必要になるかどうかは、医療機関により異なります。
私服で受けられる医療機関でも、ファスナーやボタンがある場合は着替えが必要になることがあります。ワイヤーやホックのある下着、時計、アクセサリーなどはすべて外しましょう。
胃のレントゲン検査では、発泡剤とバリウムを飲む必要があります。
胃が膨らんだ状態を保つために、ゲップは我慢してください。口呼吸よりも鼻呼吸のほうが、ゲップが出にくくなります。
検査室では専門のスタッフから撮影時の姿勢や呼吸についての説明があるため、指示に従いましょう。
所要時間は撮影する部位や枚数により異なりますが、数分~数十分程度で終了します。
がんを調べるためのレントゲン検査の場合、結果は後日郵送される、もしくは再来院して受け取るケースが多いです。最後に、身支度を済ませ精算したら終了となります。
検査を受ける際の注意点
レントゲン検査を受ける際には、次のような注意点があります。
- 私服での検査の場合、装飾のないTシャツや肌着を選ぶ
- 金属類、プラスチック類はすべて外す
- ブラトップやハイネックは避ける
- 湿布、磁気性貼り薬、絆創膏、カイロなどはすべてはがす
- 肩より長い髪は高い位置で結ぶ
- ペースメーカーや血糖測定器を埋め込んでいる方、骨折や怪我で体内に金属を入れている方は事前に申し出る
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある方は事前に申し出る
異物があると白い影として写りこむため、影響のあるものは何もまとわない状態で検査を受けましょう。
安全に検査をおこなうためにも、申告が必要な方は必ず申し出てください。
がんやレントゲン検査に関するよくある質問

最後に、腰の転移性脊椎腫瘍はレントゲンに写るのか、初期のがんはレントゲンでわかるのかなどの質問に回答します。
また、レントゲン検査でわかるがん以外の病気についても触れるため、がんやレントゲン検査に関する疑問がある方は、ぜひ参考にしてください。
腰の転移性脊椎腫瘍はレントゲンに写る?
腰の転移性脊椎腫瘍により、骨折や骨にダメージがある場合にはレントゲンに写ります。
転移性脊椎腫瘍では、がんが脊椎(背骨)に転移して骨の中で大きくなることで、骨の破壊や骨折がみられます。
骨が破壊されているとX線の透過具合に差が生じるため、レントゲン検査は転移性脊椎腫瘍による骨の融解や骨折の発見に有用な検査です。
初期のがんはレントゲンではわからない?
平面画像として写し出すレントゲン検査では検出精度に限界があり、初期のがんはわかりにくいことがあります。
とくに、初期の小さいがんが骨や内臓、血管などが重なる部分に発生した場合、撮影する方向次第ではがんと気付けないケースもあるでしょう。
また、X線の透過度の差を白黒の濃淡で表すレントゲン検査は、発生初期で凹凸の少ない腫瘍を写し出せない可能性があるうえ、色の変化も確認できません。
初期の胃がんは、腫瘍の凹凸がわずかしかないため、レントゲン検査では検出されにくいでしょう。
正常な粘膜との色の違いも、初期の胃がん発見につながる重要な材料ですが、レントゲン検査では把握できないことから、がんと判断できないケースも考えられます。
さらに、初期の肺がんは腫瘍に多くの空気が含まれる特徴があるため、X線が通り抜けやすくレントゲン検査で鮮明に写し出すことは困難です。
レントゲン検査は体への負担が少なく手軽に受けられ、費用は比較的安いため、最初の検査として用いられやすいですが、初期のがんを必ず発見できるとは限りません。
必要に応じて、より詳しく調べられるCT検査や内視鏡検査の併用も検討するとよいでしょう。
レントゲン検査でわかるがん以外の病気は?
レントゲン検査は撮影部位により、がん以外の次のような病気がみつかることもあります。
- 肺炎
- 肺結核
- 気胸
- 肺水腫
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 間質性肺炎
- 腸閉塞
- 虫垂炎
レントゲン検査はがんの疑いの有無を調べる以外に、さまざまな病気の発見にも役立つ検査です。
まとめ

X線を使用するレントゲン検査は、被ばくによるリスクが懸念されがちですが、1回の検査で受ける放射線量は非常に少量で、健康被害の心配は不要です。
がんの発生率を上昇させる放射線被ばく量100mSvを上回る検査はないため、レントゲン検査のみが原因でがんになることはありません。
また、レントゲン検査のダメージはすぐに修復できるレベルであり、検査の間隔を1か月空けても、2日連続で受けても体への影響に差はないため、日数を空けずに受けられます。
レントゲン検査では腫瘍部分が白い影として写ったり、がんによる炎症部分が霧のように写ったりします。
臓器が正しい位置から外れて写る場合は、成長したがん細胞に圧迫されている可能性が考えられるでしょう。
レントゲン検査はがんと疑われる影の有無や腫瘍の形の確認に役立つ検査ですが、平面的かつモノクロでしか撮影できないことから、初期のがんの発見には至らないケースもあります。
レントゲン検査に限った話ではありませんが、がんの発見が約束された検査はないため、必要に応じてCT検査や内視鏡検査、そのほか早期発見が期待できる検査の併用も検討するとよいでしょう。



