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直腸がんの症状・前兆とは?ステージ別の病状や早期発見につながる検査方法を解説

大腸がんは40歳を超えると増えはじめ、年齢とともにリスクが高まるがんであり、死亡率も罹患率も高いです。

部位別のがん死亡率では、男性は肺がんに続いて大腸がんが高く、女性は大腸がんが最も高いです。

日本人は、大腸のなかでも直腸やS状結腸にがんができやすいと報告されています。しかし直腸がんは、早期の段階では自覚症状が乏しく、自身で気づくことが困難です。

本記事では直腸がんを早期発見できるよう、ステージ別の症状や前兆、検査方法について紹介します

とくに大腸がんにかかりやすいとされる40歳以上の方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

直腸がんとは?

直腸がんは、大腸の一部である直腸にできるがんで、大腸がんのうち40%を占めます。

ここでは直腸がんの概要と、リスクを高める要因について紹介します。

大腸の一部に発生するがん

大腸は、食べ物の最後のとおり道です。成人では約1.5mの長さがあり、主に3つの部位に分けられます。

【大腸】

盲腸・盲腸
・虫垂
結腸・上行結腸
・横行結腸
・下行結腸
・S状結腸
直腸・直腸S状部
・上部直腸
・下部直腸

大腸は水分を吸収して便を作りますが、なかでも直腸は肛門の手前にあり、作った便を一時的に溜める働きをします

がんは大腸壁の最も内側にある粘膜に発生し、進行すると大腸壁の外まで広がり、リンパ液にのり全身へ転移するのです。

直腸がんリスクを高める要因

直腸がんを含む大腸がんは近年増加しており、死亡率は半世紀前と比べると約10倍も上昇しています

直腸がんの発生には生活習慣が関与すると考えられ、次のような要因が直腸がんのリスクを高めると報告されています。

  • 喫煙
  • 飲酒
  • 肥満
  • 加工肉、赤身肉の摂取(女性の場合)
  • 家族の病歴(家系に家族性大腸腺腫症やリンチ症候群の罹患者がいる場合)

直腸がんの予防には、禁煙や節度のある飲酒、運動、バランスのよい食事などが大切です。

飲酒の目安は次のとおりです。

日本酒1合
ビール大ビン1本(663ml)
焼酎、泡盛原液で1合の3分の2
ウイスキー、ブランデーダブル1杯
ワイングラス2杯程度

食事には、腸内環境を改善し、発がん物質の腸内滞留時間を短縮させる食物繊維を積極的に摂りましょう。

大腸がんの予防に効果的な食物繊維の目安は、1日10gです。

直腸がんの主な症状

ステージ別の病状や、直腸がんの症状の注意点を理解していると、少しでも直腸がんの早期発見につながるでしょう。

初期は自覚症状がほぼない

直腸がんの初期には自覚症状がほぼないため、気づいたときにはがんが進行しています。

次のような症状に一つでも当てはまる場合や、頻繁に繰り返す場合は注意が必要です。

  • 出血がある
  • 便が細い
  • 何度もトイレに行きたくなる
  • 便秘、下痢を繰り返す
  • 貧血、立ちくらみがする

直腸がんになると、病変部位から出血し、貧血を起こす場合があります。さらに腫瘍により腸が狭くなり、便秘と下痢を繰り返すでしょう。

なかでも血便や下血は直腸がんの代表的な症状であり、大腸がん検診でも便に交じった血から大腸がんを発見する目的で検便による便潜血検査をおこないます

便潜血検査は、目に見えないほどの出血量でも調べられ、早期発見につながります。

大腸がん検診は男女ともに大腸がんのリスクが増加する40歳以上が対象です。公費負担を受けられるため、対象者は年に1回検診を受けましょう。

痛みを感じることはない

直腸は自律神経により支配されているため、痛みを感じません。

痛みなく出血しているときは痔を疑う方もいますが、肛門ではなく大腸が異常をきたしている可能性があることを理解しておきましょう

進行するとあらわれる症状

直腸がんのステージは次の5段階に分けられます。

直腸がんのステージがんの状態
ステージ0がんが粘膜内にとどまる
ステージⅠがんが大腸壁内にとどまり、リンパ節への転移がない状態
ステージⅡがんが大腸壁の外側にまで浸潤し、かつリンパ節への転移がない状態
ステージⅢ深達度に関係なく、リンパ節に転移がある状態
ステージⅣ肝臓や肺などへの血行性転移、または腹膜にがんが散らばる状態

直腸がんのステージは、粘膜からがんが広まる度合いにより異なります。ステージ別に見られる症状は、次をぜひ参考にしてください。

直腸がんのステージがんの状態
ステージ0・血便
・便秘と下痢を繰り返す
・細い便が出たり、残便感が残ったりする
・腹部の張りや痛み
ステージⅠ・細い便が出る
・血便
・便秘
・下痢
・腹部不快感
ステージⅡ・便秘
・下痢
・血便
・腹痛
・体重減少
・疲労感
ステージⅢ・血便
・貧血
・腹部の張り
・腹部不快感
・便秘
・細い便が出る
・残便感
ステージⅣ・腹痛
・便秘
・下痢
・便の変色
・体重減少
・転移した臓器による特有の症状
(肝臓ならば黄疸、肝機能の低下など)

直腸がんでは、血便や便秘、腹部への症状が全ステージにおいて見られます。

病状が進行すると、慢性的に出血するため貧血を起こしやすいです。

がんが大きくなると腸内が狭くなり、細い便が出たり、残便感が出たり残ったりしますが、進行すると腸閉塞になり、嘔吐や腹痛を起こし体重も減少します。

直腸がんの検査方法

直腸がんでおこなわれる検査は次の5つです。

  • 直腸指診
  • 注腸造影検査
  • 大腸内視鏡検査
  • CT・MRI検査
  • 腫瘍マーカー検査

直腸指診

直腸は肛門のすぐ後ろにあるため、直腸がんを疑うときは、肛門から指を入れ、直接直腸を指で触り、がんの大きさや位置を確認します。

直腸がんは指が届く範囲にできるため、直腸指診では直腸がんの約70%が発見可能です。

短時間ででき、特別な準備もないため、直腸がんが疑われる場合、まず直腸指診がおこなわれます。

注腸造影検査

注腸造影検査とは、肛門からバリウムと空気を注入し、X線で撮影する検査です。15分ほどの検査で、がんの大きさや位置、広がり、腸の狭さなどを調べられます。

下剤を使用して、大腸をきれいにしてから実施します。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査は、注腸造影検査では調べにくい腸が重なった部分でも再現性が高く、医療被曝のリスクもありません

色調変化や出血の有無も調べられ、感度の高さ(がん病変を発見できる確率)から精密検査のなかでも第一選択となります。

大腸内視鏡検査では、先端に小型カメラが付いた内視鏡を肛門から入れて、大腸の内部をモニターに映し出して確認します。

ポリープが発見された場合や、生検が必要な場合は、その場で組織の採取や、病変の切除も可能です。

注腸造影検査同様に、検査当日に下剤を飲み、大腸をきれいにしてから20~30分かけて検査をおこないます。

CT・MRI検査

CT検査ではX線を、MRI検査では磁気を使用し、大腸のみでなく全身を調べられます

事前に大腸を膨らませるために炭酸ガスを肛門に注入しますが、大腸内視鏡検査と比較して痛みや身体への負担が少なく済みます。

ただしCT・MRI検査では確定診断をつけられないため、病変が見られたときは、後日、大腸内視鏡検査を受けなければなりません。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は採血をして、血液中にあるCEAやCA19-9を測定します

ただし腫瘍マーカーの値のみでは、がんの有無や進行などの判断ができないため、診断後の経過を調べる場合や治療効果を確認する場合などにおこなわれます。

医師の判断により、画像検査と組みあわせて腫瘍マーカーを測定する場合もあるでしょう。

マイクロCTC検査は全身のがんを検査可能

直腸は結腸とは異なり骨盤内にあるため、術後に次のようなさまざまな後遺症が表れます。

【直腸がんの術後後遺症例】

  • 残便感がありスッキリしない
  • 就寝時に便が漏れる
  • 残尿感がある
  • 尿意を感じない
  • 腸閉塞
  • 勃起不全
  • 射精障害
  • 腹腔内膿瘍

とくに直腸がんの術後には、排便障害がよく見られます。

排便障害は肛門からがんまでの距離が5cm以内の場合に起こりやすいため、がんが大きくならないうちに、早期発見が大切です。

ここでは直腸がんのみでなく、全身のがんを画像検査より早く発見できるマイクロCTC検査について解説します。

短時間の血液検査で診断可能

マイクロCTC検査は1回5分の採血のみで、次のがんを除く全身のがんを調べられます。

【マイクロCTC検査で調べられないがん】

  • 白血病
  • 悪性リンパ腫
  • 多発性骨髄腫
  • 上皮性がん細胞

対象の医療機関を調べ、マイクロCTC検査を申し込み、採血を実施し、あとは検査結果を待つのみです。

全国156件の医療機関で検査が可能です。

マイクロCTC検査の対象医療機関件数
東京都42件(渋谷区、新宿区、中央区など)
大阪府19件(大阪市、藤井寺市、豊中市など)
愛知県4件(名古屋市、岡崎市)

専門の検査技師が1検体ずつ丁寧に調べ、1週間程度で検査結果がでます。

マイクロCTC検査のメカニズム

通常がんは1cm以上の大きさにならないと、CTやMRI、PETなどの画像検査では見つけられません

しかしマイクロCTC検査では、血中のがん細胞を直接補足するため、小さながんでも発見できます。

さらにがん細胞は、上皮性がん細胞と、間葉系がんの2種類に分けられ、次のような特徴があります。

がん細胞特徴
上皮性がん細胞・初期のがん細胞
・細胞同士の接着が強い
・転移しない
・自己免疫で消える場合もある
間葉系がん細胞・接着が弱まり、運動性能が高い
・他臓器へ浸潤、転移の恐れがある
・がんを進行させる

初期のがん細胞を上皮性がん細胞といいます。上皮性がん細胞は途中で上皮間葉転換(EMT)を起こし、形質が変化して、間葉系がん細胞になるものです。

間葉系がん細胞はがん細胞同士の接着が弱く、運動性能を有し浸潤や転移を引き起こします。

マイクロCTC検査は、血中に漏れ出た間葉系がん細胞のみを捉えて検出します。検査の特異度は94.45%であり、高い精度でがんの発見が可能です。

直腸がんに関するよくある質問

最後に、直腸がんに関するよくある質問について紹介します。

5年生存率は?

直腸がんの5年生存率は、71.8 %(男性71.7 %、女性71.9 %)です。

進行度別の5年生存率は次のとおりです。

5年生存率
限局(原発臓器に限局している)95.7%
領域(リンパ節転移または隣接臓器へ浸潤)74.0%
遠隔(遠隔臓器、遠隔リンパ節に転移、浸潤)19.7%

がんの範囲が限局されている場合は、5年生存率が95.7%ですが、遠隔転移が見られると、19.7%と一気に低下します。

どのような治療法がある?

直腸がんの治療法は、ほかのがんと同様に、手術や薬物療法、放射線治療です。

治療法はステージ別で異なります。

ステージ治療法
0期・Ⅰ期(軽度浸潤)・大腸内視鏡治療
・大腸内視鏡治療ができない場合手術(開腹手術、腹腔鏡下手術)
Ⅰ期(高度浸潤)・Ⅱ期・手術(開腹手術、腹腔鏡下手術)
・Ⅱ期の場合、再発を防ぐため術後は薬物療法
Ⅲ期・手術(開腹手術、腹腔鏡下手術)
・再発を防ぐため術後は薬物療法
Ⅳ期【遠隔転移巣の切除ができる場合】
・手術(原発巣+遠隔転移巣の切除)
【原発巣は切除、遠隔転移巣は切除できない】
・手術(原発巣のみ)
・薬物療法
・放射線治療
【原発巣、遠隔転移巣ともに切除ができない場合】
・薬物療法
・放射線治療
・対処療法

直腸がんは0期や軽度浸潤のⅠ期であれば、大腸内視鏡のみで開腹せずに処置が可能です。

原発巣や遠隔転移巣が切除できる場合は手術ができますが、切除できないと薬物療法や放射線治療になります

ただし薬物療法で効果があると、あとから手術できる場合もあります。

直腸がんはとくに肝臓や肺、腹膜、脳、骨などに転移しやすく、肝臓や肺に転移したときは手術や放射線療法、薬物療法が可能です。

治療後の日常生活における注意点は?

治療後は次のような点に気を付け、規則正しい生活を送りましょう。

食事・バランスのよい食事を心がける
・腹7~8分目程度の食事とする
・食物繊維(ゴボウ、海藻類など)を積極的に摂取
・消化しにくいものを避ける
(揚げ物や油をよく使う中華料理など)
運動・手術後は、ウォーキングやストレッチなど軽い運動から始める
・自身の体力にあわせて運動量を増やす
・腹筋を使う運動は控える
外出・術後は下痢が続いたり、1日に何度も便意を感じたり、トイレに行く回数が増えるため、事前準備が大切(トイレの場所を確認、おむつパットの利用など)
・人工肛門にした場合、オストメイト対応のトイレを探す
(※ウェブサイト「オストメイトjp」で検索可能)

大腸内視鏡後は約1週間、手術後は1~3か月で治療前の生活に戻れます。無理せず、焦らず、主治医と相談しながら自身のペースで進めることが大切です。

まとめ

直腸がんは、早期の段階では自覚症状が乏しく、痛みがないため、痔だと自己判断し、発見が遅れる場合があります。

直腸は骨盤内にあり、がんが広がり、切除部分が多くなると排便障害や性機能障害など、さまざまな後遺症が現れるため、早期発見が重要です。

早期発見には1回5分の採血のみで、直腸がんを含め全身のがん(血液がん以外)を調べられるマイクロCTC検査がおすすめです。

マイクロCTC検査では、CTやMRIなど画像検査では調べられない小さながんでも発見できます。

全国の156件の医療機関で実施しているため、がんを早期発見したい方はぜひ参考にしてください。

※本記事は可能な限り正確な情報を記載しておりますが、内容の正確性や安全性を保証するものではありません。

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